いまさら聞けない?「ふるさと納税」の仕組み
最近、「確定申告で、ふるさと納税について寄付金控除をしたけど還付金が少ない。これしか戻らないの?」という質問を受けたので、その仕組みと、ふるさと納税をして『ワンストップ特例制度』を利用した場合と『確定申告の寄付金控除』を利用した場合の控除額の計算をおさらいしようと思います。
ふるさと納税とは
例えば私は高校3年生まで会津若松市で育ったのですが、その後、就職したり転勤したりでいろいろな場所を経て、現在仙台市に住んでいて、20年近く仙台市に住民税を納めています。その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には1円も税収が入らないことになっています。
そこで、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた『ふるさと』に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」という意見・議論から生まれたのがふるさと納税制度です。
自治体に寄附をすることで、その寄附額の一部(自己負担2,000円を除いた額)が所得税及び翌年の住民税から控除され、なおかつ、寄附額の3割程度の返礼品が貰えるという夢のような制度なのに、2023年の利用率は28.4%と、知っている人・特に高額所得者が得をしている制度になってしまっています。
まずは自分の控除限度額(個人事業主の方のシミュレーションはコチラ、給与所得者の方の目安はコチラ)を確認して、各種ふるさと納税サイト(楽天ふるさと納税・ふるなび・さとふる・ふるさとチョイス等)で「2,000円でこれが全部貰えるなら嬉しい!」という自治体を探してみてはいかがでしょうか。
寄附金控除の申告方法
ただ単に「ふるさと納税」をしただけだと、その自治体に寄附をしただけになってしまうので、ふるさと納税をした翌年の3月15日までに確定申告をして寄付金控除を受ける必要があります。確定申告をすることで、まずはその際に所得税から控除され、残りの分が翌年の住民税から控除されます。
なお、確定申告が不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体が5団体以内であれば、「ワンストップ特例制度」を申請することができます。確定申告をしないので所得税からの控除が行われず、控除額の全体が翌年の住民税から控除されます。
それでは、ふるさと納税をして『ワンストップ特例制度』を利用した場合と『確定申告の寄付金控除』を利用した場合の控除額は、どちらも同じ金額になるのかを検証してみましょう!
控除額の計算
1 ワンストップ特例制度を利用した場合
ワンストップ特例制度を利用した場合には、次の式で算出した控除額の全額が住民税から控除されます。
控除額=その人の上限額内の納税額-2,000円
仮に年収500万円の人が50,000円のふるさと納税をした場合の控除額は48,000円となります。
【 50,000円-2,000円=48,000円 】
2 確定申告を利用した場合
確定申告を利用した場合は、次のとおり「所得税」と「翌年の住民税」の両方から控除を受けることになります。
① 所得税分
所得税からの控除額は次のとおりです。
所得税控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率
仮に年収500万円の人が50,000円のふるさと納税をした場合の所得税からの控除額は、年収500万円の所得税率は20%(分かりやすくするために復興特別所得税の計算は省略します)なので、9,600円となります。
【(50,000円-2,000円)×20%=9,600円 】
② 住民税基本分
住民税からの控除額(基本分)は次のとおりです。なお、ふるさと納税額は総所得金額の30%が上限になります。
住民税控除額(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
仮に50,000円のふるさと納税をした場合の住民税からの控除額(基本分)は4,800円となります。
【(50,000円-2,000円)×10%=4,800円 】
③ 住民税特例分
住民税からの控除額(特例分)は次のとおりです。なお、住民税所得割額の2割が上限になります。
住民税控除額(特例分)=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%《基本分》-20%《上記①の所得税率》)
仮に年収500万円の人が50,000円のふるさと納税をした場合の住民税からの控除額(特例分)は33,600円となります。
【(50,000円-2,000円)×(100%-10%-20%)=33,600円 】
①+②+③=48,000円
以上のように、ふるさと納税をして『ワンストップ特例制度』を利用した場合と『確定申告の寄付金控除』を利用した場合の控除額は、どちらも、ふるさと納税額から2,000円を引いた金額になります。
これが、ふるさと納税は「実質2,000円で返礼品がもらえる」と言われる理由です。
ふるさと納税をはじめ、確定申告に関する相談も受け付けています。1回(1時間程度) 5,000円となっています (初回の「お問い合わせ」「打ち合わせ」は無料です)。
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