法人が普通預金利息を受け取ったときの仕訳と税務処理

 普通預金の金利については、長らくゼロに近い状態が続いていましたが、近年、インフレや景気回復を背景に、政策金利が引き上げられ、それに伴い預金金利も上昇してきましたね。
 法人が普通預金の利息を受け取った場合、その受取利息は法人の収益として認識され、課税対象となります。

 法人の銀行口座に普通預金の利息が入金されたとき、通帳に記載された金額をそのまま「受取利息」として処理していませんか。
 法人が受け取る預金利息からは、所得税と復興特別所得税があらかじめ差し引かれています。そのため、本来は入金額を税引前の金額に戻し、差し引かれた税金も分けて記帳します。
 この記事では、次の点を仕訳例とともに分かりやすく解説します。

  • 通帳に入金された普通預金利息の仕訳
  • 税引前の受取利息と源泉所得税の計算方法
  • 源泉所得税を「法人税等」で処理する方法
  • 法人税申告書の別表六(一)との関係
  • 税引後の金額だけで処理していた場合の対応

1 法人の預金利息から差し引かれる税率は15.315%

 法人が国内の銀行から受け取る普通預金の利息には、所得税と復興特別所得税を合わせて15.315%が課税されます。
 銀行はこの税金を差し引き、残額を法人の口座へ入金します。通帳に表示される金額は、税引前の受取利息ではなく、税金が引かれた後の金額です。

 なお、法人の預金利息に対する都道府県民税の利子割は、平成28年1月1日以後に支払いを受ける利息から廃止されています。

【仕訳例】

 たとえば、普通預金口座に100円の利息が振り込まれた場合、税引前の受取利息は118円、差し引かれた税金は18円と考え、以下のような仕訳になります。

 銀行の通帳には「100円」と記載されますが、実際には、税引前の利息118円に対して15.315%(18円)の税金が源泉徴収され、残額100円が振り込まれていることになります。


【税引前利息の計算方法】

 税額が不明な場合は、入金額から次の計算式で逆算して求めることができます。

  1. 受取利息の金額=入金額 ÷ (1-15.315%) ≒ 入金額 ÷ 0.84685
  2. 税金の金額=受取利息 × 15.315% ≒ (1で算出した金額)-入金額

 上記の例で100円が振り込まれた場合:

  ① 受取利息 = 100 ÷ 0.84685 ≒ 118円(円未満切捨て)
  ② 税金 = 118 × 15.315% ≒ 118円-100円 ≒ 18円(円未満切捨て)

2 源泉所得税は「法人税等」で処理する

 預金利息から差し引かれた所得税と復興特別所得税は、法人にとって税金の前払いに当たります。
 確定申告で「所得税額控除」を適用すると、差し引かれた税額を、その事業年度の法人税額から控除できます。この記事では、入金時に「法人税等」で処理し、別表六(一)を作成して申告調整する方法で説明します。
 源泉徴収された税額を「法人税等」として記帳しただけでは、法人税額から自動的に控除されるわけではありません。決算時に年間の源泉所得税額を集計し、別表六(一)に記載するとともに、別表四などへ正しく反映させることが重要です。

3 法人税申告では別表六(一)を作成する

 預金利息から差し引かれた所得税・復興特別所得税について所得税額控除を受ける場合は、法人税申告書の**別表六(一)「所得税額の控除に関する明細書」**を作成します。
 預貯金の利子については、主に次の金額を記載します。

  • 税引前の受取利息
  • その利息から差し引かれた所得税・復興特別所得税
  • 法人税額から控除を受ける所得税額

 別表六(一)の控除額は、別表一の控除税額および別表四の「法人税額から控除される所得税額」と一致させます。
 預貯金の利子は、株式の配当とは異なり、所有期間による按分計算は通常必要ありません。

4 税引後の入金額だけを「受取利息」にしていた場合

 次のように、通帳に入金された金額だけを受取利息として処理しているケースもあります。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金85円受取利息85円

 この処理では、税引前の受取利息と差し引かれた所得税が帳簿に現れません。そのまま申告すると、所得税額控除を受け忘れる可能性があります。
 決算時に税引前の金額と源泉徴収税額を確認し、受取利息の追加計上と所得税額控除の処理を行います。金額が少額でも、毎期同じ方法で正しく処理することが大切です。

5 利息に消費税はかかる?

 預金利息は、消費税では非課税売上に該当します。
 会計ソフトへ入力するときは「非課税売上」など、使用しているソフトに応じた税区分を選択します。「対象外」や「課税売上」にすると消費税申告へ正しく反映されないことがあるため注意しましょう。

6 定期預金や信用金庫の出資配当も同じ処理?

 定期預金の利息についても、基本的な考え方は普通預金と同じです。
 一方、信用金庫などから受け取る出資配当は「預金利息」ではなく「配当」です。会計処理や別表六(一)の記載区分が異なるため、普通預金の利息と分けて確認する必要があります。

7 よくある質問

Q1 受取利息が数円でも税引前に戻す必要がありますか?
 原則として、税引前の受取利息と差し引かれた税額を分けて処理します。少額の場合でも、決算時にまとめて確認できるよう、銀行ごとの利息明細を保存しておくと安心です。

Q2 利息計算書が手元にない場合はどうしますか?
 まず、インターネットバンキングの取引明細や銀行からのお知らせを確認します。税引前金額が確認できない場合は、入金額から逆算しますが、端数処理により一致しないことがあります。

Q3 源泉所得税を「法人税等」で仕訳してもよいですか?
 はい。別表六(一)を作成して所得税額控除を受け、申告書で必要な調整を行うのであれば、「法人税等」で仕訳して差し支えありません。決算時に年間の源泉所得税額を漏れなく集計できるよう、利息明細を保存しておきましょう。

Q4 所得税額控除を受けないこともできますか?
 所得税額控除を受けず、源泉徴収された所得税等を損金算入する方法もあります。ただし、一般には所得税額控除を選択した方が有利です。申告書の処理も変わるため、単に別表六(一)を作らずに終わらせないよう注意してください。

まとめ

 法人の普通預金に利息が入金された場合は、通帳の入金額だけを受取利息にするのではなく、税引前の受取利息と差し引かれた所得税・復興特別所得税に分けて処理します。
 ポイントは次の4つです。

  • 通帳の入金額は税引後の金額
  • 受取利息は税引前の金額で計上する
  • 差し引かれた税金は「法人税等」で区分して処理する
  • 法人税申告では別表六(一)を作成し、所得税額控除を確認する

 預金利息の仕訳は少額になりやすい一方、決算や法人税申告につながる処理です。受取利息を税引後で記帳している、別表六(一)を作成していない、法人決算だけ専門家に依頼したいという方は、仙台市の佐沼幸太郎税理士事務所へお気軽にご相談ください。

執筆:代表税理士 佐沼 幸太郎

仙台市若林区土樋76ファミール愛宕202 佐沼幸太郎税理士事務所