今年の年末調整の注目ポイント!「特定親族特別控除」

 仙台市で日々経営や税務に取り組む法人・個人事業主の皆さまへ、本記事では令和7年度の年末調整で注意すべき事項をご紹介します。
 今年の年末調整の注目ポイント!「特定親族特別控除」が新しくスタートします。今年の年末調整で話題になる「新しい控除」とは?

 「子どもがアルバイトでたくさん働いたら、扶養控除の対象外になってしまう…」そんな話を聞いたことはありませんか?
 2025年(令和7年)からは、こうした「扶養控除の壁」をやわらげるために、特定親族特別控除(とくていしんぞくとくべつこうじょ) という新しい制度が始まります。

 これは、子どもが一定額以上の収入を得て扶養控除の対象から外れたときに、その代わりに段階的な控除を受けられるようにする仕組みです。つまり、「一気に税負担が増えないようにする」ための救済的な控除といえます。
 特定扶養控除における「配偶者特別控除」と考えると分かりやすいかもしれません。

「特定親族特別控除」ってどんなもの?

 これまでのルールでは、子どもの所得が「48万円」(給与収入で約103万円)を超えると、親が受けられる扶養控除の対象外となっていました。しかしこの制度では、

  • 所得が「58万円超〜123万円以下」(給与収入でいうと約123万〜188万円くらい)

 の範囲であれば、段階的に控除を受けることができます。
 つまり、扶養控除の対象外になっても「なだらかに減る」形で控除が残る仕組みです。

 これは、配偶者控除の対象外になっても「配偶者特別控除」があるのと同じですね!

控除の金額はどれくらい?

 この特定親族特別控除の控除額は 最大63万円(従来の特定扶養控除と同額)です。ただし、所得が増えるにつれて控除額は少しずつ減り、最終的にはゼロになります。
 ざっくりしたイメージとしてはこんな感じです。

年収(給与収入)控除の扱い
約120万円以下最大(63万円)
約150万円前後半分くらい(31万円)
約180万円を超える対象外(控除なし)

 「少し多く稼いだだけで一気に控除がなくなる」という従来の問題を、“スライド制”のようにやわらげるのが、この制度のポイントです。

だれが対象になるの

 「特定親族特別控除」の対象となるのは、次の条件に当てはまる人です。

  • その年の12月31日時点で 19歳以上23歳未満 の親族
  • 生計を一にしている(同居や仕送りなどで生活を支えている)
  • 配偶者ではない
  • 青色・白色事業専従者ではない

 つまり、大学生や専門学校生などの世代が主な対象になります。

注意しておきたいポイント

① 年末調整では「見込み」で申告
 年末調整時は、実際の収入額ではなく 「見込みの所得金額」 を記入します。アルバイト収入の見込みがずれると、後から確定申告で修正が必要になることもあるので注意です。

② 判定は12月31日時点
 対象年齢や扶養関係の判断は、その年の12月31日現在で行います。令和7年分においては、平成15年1月2日から平成19年1月1日までの間に生まれた人が対象です。大学生かどうかではなく、生年月日によって該当するかどうかを判断しましょう。

扶養控除と特定親族特別控除の関係
 ここが誤解されやすいポイントです。特定親族特別控除は、扶養控除と併用できるものではありません。
 つまり、「扶養控除の対象外になった人に対して、新しく使える控除」 という“代替関係”にあります。扶養控除の延長ではなく、新しく追加された別の控除 だと理解するのが正確です。
 

どんな家庭にメリットがある?

  • 大学生や専門学校生の子どもがいて、アルバイト収入が年120万〜180万円くらい
  • 「働きたいけど扶養控除から外れるのが心配…」という家庭

 こうしたケースでは、扶養控除は受けられなくても、代わりに特定親族特別控除が適用される可能性があります。そのため、税負担が一気に増えるリスクが小さくなります。

まとめ:税負担の「段差」をなだらかにする新制度

 「特定親族特別控除」は、働く学生世代を応援しつつ、家庭の税負担をやわらげるために設けられた新しい仕組みです。
 これまでのように「103万円を少し超えただけで控除がゼロになる」ことが減り、“段差”がなだらかになります。

 ただし、初年度は申告書の書式変更やシステム対応などもあるため、早めに年末調整の準備を進めておくことが大切です。
 最新の制度内容は国税庁のホームページでも公開されています。申告前に必ず最新情報をチェックしましょう!

 年末調整に関する相談も受け付けています。1回(1時間程度) 5,000円となっています (初回の「お問い合わせ」「打ち合わせ」は無料です)。仙台市の税理士「佐沼幸太郎税理士事務所」にお気軽にご相談ください。

 仙台市若林区土樋76ファミール愛宕202 佐沼幸太郎税理士事務所