【仙台市の事業者向け】修繕費と資本的支出の違いとは?判断基準を税理士が解説

建物の外壁工事や屋根の補修、店舗・事務所の改装、機械設備の修理などを行った際、「これは修繕費として一括で経費にできるのか?」「それとも資本的支出として資産計上する必要があるのか?」 という判断に迷うことがあります。
修繕費であれば原則としてその年・事業年度の経費になりますが、資本的支出に該当すると、資産として計上し、原則として減価償却によって複数年にわたり経費化することになります。
今回は、仙台市で事業をされている法人・個人事業主の方向けに、修繕費と資本的支出の違い、20万円・60万円などの判断基準、実務上の注意点について分かりやすく解説します。

1 修繕費と資本的支出の違い
まず基本となるのが、工事によって「元の状態に戻した」のか、それとも「以前より価値や性能を高めた」のかという違いです。
税務上、
通常の維持管理や、壊れた部分を元の状態に戻すための支出
は、原則として「修繕費」となります。
一方、
固定資産の価値を高めたり、耐久性を増したりするための支出
は、「資本的支出」となります。国税庁も、建物への物理的な付加、用途変更のための改造・改装、高性能な部品への交換による性能向上部分などを資本的支出の例として挙げています。
例えば、
- 雨漏りした屋根を元の状態に戻す → 修繕費
- 傷んだ外壁を通常の状態まで補修する → 修繕費
- 建物に新たな設備や構造物を付け加える → 資本的支出
- 事務所を飲食店に変更するため大規模な改装を行う → 資本的支出
- 機械を従来より高性能にするための改良を行う → 性能向上部分は資本的支出
という考え方になります。
重要なのは、請求書に「修繕工事」と書かれているかどうかではありません。
名称ではなく、実際にどのような工事を行ったのかによって判断することになります。
「金額が高い=資本的支出」ではない
修繕費と資本的支出について、「100万円を超えたら資本的支出」「金額が大きければ資産計上」と思われている方もいますが、必ずしもそうではありません。
例えば、数百万円かかった工事であっても、建物の通常の維持管理や原状回復のために必要な工事であれば、修繕費に該当する可能性があります。
反対に、少額であっても、明らかに新しいものを付け加えた場合などは、単純な修繕とはいえないケースがあります。
したがって、まず確認するべきなのは金額ではなく工事の内容です。
2 20万円未満なら修繕費として処理できる
実務上、非常に重要なのが「20万円未満」という基準です。
一つの計画に基づいて同一の固定資産について行う修理・改良等の費用が、20万円未満である場合には、修繕費として処理することが認められています。
また、金額にかかわらず、おおむね3年以内の周期で行われることが、過去の実績などから明らかな修理・改良についても、修繕費として処理することができます。法人税・所得税のいずれにも同様の取扱いがあります。
なお、「20万円以下」ではなく20万円未満である点には注意しましょう。
3 判断がつかない場合の「60万円基準」と「10%基準」
工事内容を確認しても、修繕費なのか資本的支出なのか明確に区分できないケースがあります。
この場合には、一定の形式基準が設けられています。
修繕費か資本的支出かが明らかでない場合で、
① 一つの修理・改良等の金額が60万円未満
または、
② 対象となる固定資産の取得価額のおおむね10%以下
であれば、修繕費として処理することが認められています。
個人事業主についても同様で、前年12月31日における取得価額のおおむね10%以下である場合などには、修繕費として処理することができます。
ここで特に注意したいのが、
「60万円未満なら無条件で修繕費になるわけではない」
ということです。
60万円基準や10%基準は、あくまで修繕費なのか資本的支出なのかが明らかでない場合に使用する基準です。
明らかに建物を増築した、新しい設備を付加した、といった場合まで60万円未満だから修繕費になるわけではありません。
4 それでも区分できない場合には「30%基準」も
20万円基準や60万円基準などでも区分できない場合には、さらに特例があります。
修繕費か資本的支出かが明らかでない金額について、継続して、支出額の30%と固定資産の取得価額の10%のいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする方法です。
一定の要件のもとで、この処理も認められています。法人の場合は前事業年度末、個人事業主の場合は前年12月31日の取得価額を基礎として判定します。
5 修繕費と資本的支出の判断を簡単に整理
実務では、次の順番で考えると分かりやすくなります。
① 通常の維持管理・原状回復か?
→ 原則として修繕費
② 価値を高めたり、耐久性を増したりする工事か?
→ 原則として資本的支出
③ 一つの修理・改良等が20万円未満か?
→ 修繕費として処理可能
④ おおむね3年以内の周期で行う修理か?
→ 修繕費として処理可能
⑤ それでも修繕費か資本的支出か明らかでない場合、60万円未満または取得価額のおおむね10%以下か?
→ 修繕費として処理可能
という流れです。
特に注意したいのは、最初から「60万円未満かどうか」だけで判定しないことです。
まず工事の実質を確認することが基本になります。
6 見積書や工事前後の写真を残しておきましょう
修繕費と資本的支出を判断する際には、工事の内容が分かる資料を残しておくことも重要です。
請求書に「改修工事一式 300万円」としか書かれていない場合、数年後に内容を確認しようとしても、どのような工事だったのか分からなくなることがあります。
金額の大きな工事については、
- 工事の見積書・明細書
- 契約書
- 工事前後の写真
- 修理が必要となった理由
- 使用した材料や設備の内容
などを保管しておくことをおすすめします。
特に、外壁工事、屋根工事、店舗改装、事務所改装などは、同じ名称の工事でも内容によって修繕費になる場合と資本的支出になる場合があります。
7 耐用年数が終わった建物でも同じ
「古い建物で、すでに耐用年数が終わっているから、工事代は全部修繕費にできるのでは?」
という質問を受けることもあります。
しかし、耐用年数を経過した固定資産であっても、修繕費と資本的支出の判定方法は基本的に変わりません。
耐用年数が終わっている建物や機械についても、通常どおり、原状回復なのか、価値・耐久性を高める工事なのかによって判断します。
まとめ|修繕費か資本的支出か迷ったら工事内容の確認が重要
修繕費と資本的支出の判断では、
「いくら支払ったか」よりも「何のために、どのような工事を行ったのか」
が重要です。
原状回復や通常の維持管理であれば修繕費、価値の増加や耐久性の向上につながる場合には資本的支出というのが基本です。
そのうえで、20万円未満、3年以内の周期、60万円未満、取得価額のおおむね10%以下といった税務上の基準を確認していきます。
修繕費で一括して経費にできるか、資本的支出として減価償却するかによって、その年の所得や法人税・所得税にも影響します。
特に高額な店舗改装、事務所改装、外壁・屋根工事などについては、工事をまとめて一つの勘定科目で処理するのではなく、工事内容を確認すると、修繕費として処理できる部分と資産計上すべき部分が分かれる場合もあります。
仙台市・宮城県で、修繕費と資本的支出の判断、固定資産の会計処理、法人税・所得税の申告などでお困りの方は、佐沼幸太郎税理士事務所へお気軽にご相談ください。
工事の見積書や請求書などを確認しながら、実際の工事内容に応じた適切な税務処理をご案内いたします。

仙台市若林区土樋76ファミール愛宕202 佐沼幸太郎税理士事務所


