決算直前にできる節税対策7選|中小企業の社長が確認しておきたいポイント

 会社の決算が近づき、予想以上に利益が出そうになると、「今からできる節税対策はないだろうか」と考える社長も多いのではないでしょうか。
 実は、決算直前でも取り組める節税対策はいくつかあります。

 ただし、節税のために無理な支出をすると、税金は減っても会社の資金繰りが悪くなってしまいます。また、決算日までに一定の要件を満たさなければ、経費として認められないものもあります。

 今回は、仙台市の佐沼幸太郎税理士事務所が、中小企業の社長に確認していただきたい7つの節税対策を解説します。

1 経営セーフティ共済を活用する

 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先の倒産による連鎖倒産などに備えるための制度です。
 掛金は月額5,000円から20万円まで設定でき、一定の要件を満たせば全額を損金に算入できます。
 また、掛金は前納も可能で、最大12か月分(240万円)をまとめて支払い、当期の経費にできる場合があります。
 ただし、令和6年10月1日以降に解約し、再加入した場合は、解約日から2年間は支払った掛金を損金に算入できないという制限があります。

注意点: 決算日までに掛金の納付を完了する必要があり、新規加入や前納には手続きの期限があります。また、損金算入には法人税申告書への所定の書類の添付が必要です。
 なお、解約時に受け取る解約手当金は、原則として会社の収益になります。単純な節税ではなく、課税を将来に繰り延べる制度として考えることが大切です。

2 従業員に決算賞与を支給する

 利益が出た年度に、従業員の頑張りに報いるため、決算賞与を支給する方法があります。
 決算日までに支給する場合だけでなく、一定の要件を満たせば、決算後に支給する賞与も当期の経費にできます。
 未払計上する場合の主な要件は、次のとおりです。

  • 決算日までに、各従業員に支給額を通知していること
  • 決算日の翌日から1か月以内に、通知した全員に通知額を支給すること
  • 当期の決算で未払賞与として経費計上していること

注意点: 支給日に在職している従業員だけに支払うことを条件とした通知では、未払賞与の損金算入要件を満たしません。また、社長などの役員賞与には別のルールがあり、同じ方法で経費にできるわけではありません。

3 40万円未満の備品などを購入する

 令和8年度税制改正により、中小企業者等の少額減価償却資産の特例が拡充されました。
 令和8年4月1日以後に取得した資産については、従来の30万円未満から40万円未満に引き上げられています。
 例えば、会社で使用する35万円のパソコンを購入した場合、一定の要件を満たせば購入金額を全額その事業年度の経費にできます。

 主な要件は次のとおりです。

  • 青色申告をしている一定の中小企業者等であること
  • 取得価額が40万円未満であること
  • 年間の適用限度額が合計300万円であること
  • 決算日までに事業で使用を開始していること

注意点: 決算日までに購入しただけでは足りません。実際に事業で使用を開始していることが必要です。また、法人税申告時には所定の明細書の添付が必要です。
 なお、設立初年度など事業年度が12か月未満の場合には、300万円の限度額が月数に応じて減額されます。

4 建物や設備の修繕を行う

 事務所や店舗、工場などで修理が必要な箇所があれば、決算前に修繕を行うことも検討できます。
 例えば、雨漏りの修理、壊れた設備の補修、通常の維持管理のための修繕などです。
 こうした支出は、原則として修繕費として経費にできます。
 ただし、建物の価値を高めたり、使用可能期間を延ばしたりする工事は、資本的支出として資産計上が必要になる場合があります。
 なお、修繕費か資本的支出かが明らかでない場合には、60万円未満など一定の金額基準によって修繕費として処理できる場合もあります。

注意点: 工事代金が少額であれば必ず修繕費になるわけではありません。また、決算前に発注しただけでは経費にできず、原則として決算日までに修繕工事が完了している必要があります。

5 不要な在庫や固定資産を整理する

 決算前には、商品や材料などの在庫を確認することも重要です。
 例えば、破損して販売できなくなった商品や、著しく陳腐化して通常の価格では販売できなくなった商品などは、一定の要件を満たせば評価損や廃棄損を計上できる場合があります。
 また、使用していない機械や備品などを廃棄した場合には、固定資産除却損を計上できる場合があります。

注意点: 単に売れ残っている、古くなったという理由だけでは、在庫の評価損は認められません。実際に廃棄する場合には、廃棄前後の写真や処分業者の書類などを保存しておくことが大切です。

6 回収できない売掛金を貸倒損失として処理する

 長期間回収できていない売掛金がある場合、貸倒損失として経費にできる可能性があります。
 例えば、取引先が破産して債権が切り捨てられた場合や、取引先の資産状況・支払能力から回収不能であることが明らかになった場合などです。
 また、継続的に取引していた相手先の経営状態が悪化して取引を停止し、その後1年以上入金がない場合などにも、一定の要件を満たせば貸倒処理が認められます。
 ただし、この取扱いは売掛金などが対象で、貸付金には適用されません。

注意点: 単に「支払ってもらえない」「連絡が取れない」という理由だけでは、貸倒損失として認められるとは限りません。取引先の状況、請求や督促の記録、回収不能と判断した根拠などを整理しておくことが重要です。

7 未払費用や経費の計上漏れを確認する

 最後に確認したいのが、すでに発生している経費の計上漏れです。
 例えば、次のような費用です。

  • 決算日までに利用した通信費や水道光熱費
  • 決算日までに提供を受けた外注業務の費用
  • 決算日までに完了した修理の費用
  • 決算日までの期間に対応する一定の未払費用

 これらは、請求書の到着や支払いが決算後になっても、当期の経費として計上できる場合があります。

注意点: 未払であれば何でも経費にできるわけではありません。原則として、決算日までに役務の提供などが完了し、支払義務が確定している必要があります。 まだサービスの提供を受けていないものや、翌期以降に対応する費用まで、自由に当期の経費にできるわけではありません。

まとめ 節税は決算直前の確認と早めの準備が大切

 決算直前にできる節税対策はありますが、すべての会社に同じ方法が適しているわけではありません。
 特に注意したいのは、節税のために必要のないものまで購入しないことです。
 例えば、100万円の経費を使って税金が30万円減ったとしても、会社からは差引70万円の資金が減ることになります。
 一方、決算賞与や設備の修繕など、もともと必要だった支出を適切な時期に行うことは、会社にとって有効な選択肢となります。
 大切なのは、節税だけでなく、今後の資金繰りや事業計画も踏まえて判断することです。

 仙台市の佐沼幸太郎税理士事務所では、中小企業の決算申告や税務顧問を通じて、会社の利益状況や資金繰りを踏まえた税務上のアドバイスを行っています。
 決算が近づいている方や、今期の利益について相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。

執筆:代表税理士 佐沼 幸太郎

仙台市若林区土樋76ファミール愛宕202 佐沼幸太郎税理士事務所