法人の代表者が変更になったときに必要な手続きは?登記・税務署・社会保険まで解説

 会社の事業承継や役員交代などにより、代表取締役が変更になることがあります。
 代表者が変わった場合、まず法務局で変更登記を行いますが、「登記をしたらすべて完了」というわけではありません。
 税務署、都道府県、市町村、年金事務所、金融機関など、それぞれに変更手続きが必要です。

 今回は、仙台市に本店がある法人を例に、代表者が変更になった場合に必要となる主な手続きを解説します。
 ※令和8年(2026年)8月31日時点の制度に基づいています。

 代表者変更後に必要な手続き一覧
 まずは全体像を確認してみましょう。

手続先手続き期限主な添付書類
法務局代表者の変更登記原則2週間以内議事録・就任承諾書等
税務署異動届出書変更後速やかになし
宮城県法人設立等届出書1か月以内履歴事項全部証明書または議事録の写し等
仙台市法人等異動届出書30日以内履歴事項全部証明書の写し
年金事務所事業所関係変更(訂正)届5日以内代表者変更のみなら原則不要
銀行等代表者変更金融機関等による登記事項証明書など

 特に注意したいのが、税務署・宮城県・仙台市で添付書類の取扱いが違う点です。

1 まずは法務局で代表者の変更登記

 株式会社の代表取締役が変更になった場合には、まず法務局で役員変更登記を行います。
 株式会社の役員変更登記は、原則として登記の事由が発生してから2週間以内です。
 期限を過ぎても登記そのものができなくなるわけではありませんが、登記を怠った場合には過料の対象となる可能性があります。
 必要書類は会社の機関設計や代表者の変更理由によって異なりますが、例えば、

  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録
  • 辞任届
  • 就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 株主リスト

 などが必要になる場合があります。
 会社によって手続きが異なるため、登記について不明な場合には司法書士に確認するのがよいでしょう。

2 税務署へ「異動届出書」を提出

 代表者変更後は、税務署にも変更を届け出ます。
 使用する書類は、
 「異動届出書」
 です。
 国税庁では、代表者変更について「異動等後速やかに」提出することとしています。

 税務署への添付書類は不要
 ここは間違えやすいポイントです。
 以前は登記事項証明書などを添付するイメージを持っている方も多いかもしれませんが、現在の国税庁の案内では、
 添付書類:なし
 と明記されています。
 したがって、代表者変更だけであれば、
 異動届出書のみ を提出すれば足ります。
 また、この異動届出書を提出すれば、代表者変更を理由として別途「法人の消費税異動届出書」や「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を提出する必要もありません。
 e-Taxによる提出も可能です。

3 宮城県へ「法人設立等届出書」を提出

 仙台市に本店がある会社の場合は、税務署とは別に宮城県にも代表者変更を届け出ます。
 宮城県では、
 「法人設立等届出書(様式第54号)」
 を使用します。
 提出期限は、変更の事実が発生してから1か月以内です。

 宮城県は添付書類が必要
 宮城県の場合、代表者変更などの「その他の異動」については、
 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)または議事録の写しなど、異動の事実を確認できる書類を添付することとされています。
 つまり、

 税務署 → 添付なし
 宮城県 → 変更を確認できる書類を添付

 という違いがあります。

4 仙台市へ「法人等異動届出書」を提出

 さらに、仙台市にも法人市民税関係の変更届を提出します。
 使用する書類は、
 「法人等異動届出書」
 です。
 代表者を変更した場合には、変更が生じた日から30日以内に提出します。

 仙台市は履歴事項全部証明書の「写し」を添付
 仙台市の案内では、代表者変更の場合、
 「法人等異動届出書」に「履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)の写し」を添付することとされています。
 原本ではなく、写しで構いません。


 税務署・宮城県・仙台市の違いを整理
 代表者変更について、税務関係だけを整理すると次のようになります。

 税務署
 異動届出書
 → 添付書類なし
 → 変更後速やかに提出

 宮城県
 法人設立等届出書
 → 履歴事項全部証明書または議事録の写しなど
 → 変更から1か月以内

 仙台市
 法人等異動届出書
 → 履歴事項全部証明書の写し
 → 変更から30日以内

 同じ「代表者変更」でも、それぞれ提出書類や添付書類が異なるので注意しましょう。

5 社会保険に加入している会社は年金事務所へ届出

 健康保険・厚生年金保険に加入している会社では、代表者が変更になった場合、日本年金機構にも手続きが必要です。
 使用するのは、
 「健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届」
 です。

 日本年金機構では「事業主の変更」があった場合を届出対象としており、提出期限は5日以内としています。
 代表者変更だけであれば、法人番号変更時などと異なり、通常は別途添付書類は求められていません。
 登記や税務関係に比べて提出期限が短いため、忘れないようにしましょう。

6 労働保険・雇用保険は代表者変更だけなら原則手続き不要

 従業員を雇用している会社では、
 「労働基準監督署やハローワークにも変更届が必要なのでは?」
 と思われるかもしれません。

 しかし、法人の代表者だけが変更になり、会社名や所在地などに変更がない場合には、原則として労働保険・雇用保険の変更届は必要ありません。
 厚生労働省も、法人の代表者変更については届出不要と案内しています。
 ただし、代表者変更と同時に会社名や所在地なども変更した場合には、別途手続きが必要です。

7 銀行口座や法人カードなどの変更も忘れずに

 行政機関への届出だけでなく、民間サービスの登録情報も変更します。
 特に重要なのが法人名義の銀行口座です。
 金融機関によって必要書類は異なりますが、一般的には、

  • 履歴事項全部証明書
  • 法人の印鑑証明書
  • 新代表者の本人確認書類
  • 銀行届出印

 などを求められることがあります。
 そのほか、

  • 法人クレジットカード
  • インターネットバンキング
  • 生命保険・損害保険
  • リース契約
  • 賃貸借契約
  • 各種取引先との契約

 についても代表者名を確認しておきましょう。

8 GビズIDを利用している会社も注意

 補助金申請などでGビズIDプライムを利用している法人の場合も手続きが必要です。
 代表者が交代した場合には、単純に旧代表者の名前を書き換えるのではなく、新代表者名義で新しいGビズIDプライムを作成します。
 その後、同一法人番号の旧アカウントに登録されているGビズIDメンバーや委任情報などを、新代表者のアカウントへ承継することができます。
 補助金などの電子申請を行っている会社では忘れやすい手続きです。

9 許認可を受けている会社は個別に確認

 会社が許認可を受けて事業を行っている場合には、代表者変更について別途届出が必要になることがあります。
 例えば、

  • 建設業
  • 宅地建物取引業
  • 古物商
  • 飲食店営業
  • 酒類関係
  • 運送業
  • 介護・福祉関係

 などです。
 届出期限や必要書類は許認可ごとに異なるため、代表者変更の際には、会社が取得している許認可も併せて確認しましょう。


 代表者変更は「登記したら終わり」ではありません
 法人の代表者が変更になった場合、まず重要なのは法務局での変更登記です。
 しかし、その後にも、

 法務局
 ↓
 税務署
 ↓
 宮城県
 ↓
 仙台市
 ↓
 年金事務所
 ↓
 銀行・GビズID・許認可

 と、さまざまな手続きがあります。
 特に税務関係については、
 税務署は添付書類なし
 なのに対して、

 宮城県・仙台市は添付書類が必要
 という違いがあります。
 「税務署に出したから県や市にも自動的に反映される」と考えず、それぞれ忘れずに手続きを行いましょう。

 仙台市で法人の代表者変更に伴う税務手続きにお困りの方へ
 佐沼幸太郎税理士事務所では、仙台市を中心に法人の税務・会計に関するご相談を承っています。
 「代表取締役が変わったけれど、税務署には何を提出すればよいのか」
 「宮城県や仙台市にも届出が必要なのか」
 「代表者変更に伴う税務関係の手続きをまとめて確認したい」
 といったご相談にも対応しています。

 なお、代表者変更の登記自体は司法書士の専門分野となりますが、提携している司法書士と連携しながら、対応いたします。

 仙台市で法人の税務・会計についてお困りの際は、佐沼幸太郎税理士事務所までお気軽にお問い合わせください。

執筆:代表税理士 佐沼 幸太郎

仙台市若林区土樋76ファミール愛宕202 佐沼幸太郎税理士事務所