日本政策金融公庫の融資とは?創業・中小企業向けにわかりやすく解説

 仙台市で創業や事業拡大を考えている方にとって、資金調達の有力な選択肢の一つが日本政策金融公庫の融資です。
 特に創業時は、まだ事業実績や決算書がないため、民間金融機関から十分な融資を受けることが難しい場合があります。

 日本政策金融公庫では、これから創業する方や創業して間もない方を対象とした融資制度が用意されています。
 この記事では、仙台市の税理士「佐沼幸太郎税理士事務所」が、日本政策金融公庫の融資制度や創業融資、審査に向けて準備しておきたいポイントについて分かりやすく解説します。

1 日本政策金融公庫とは?

 日本政策金融公庫は、政府が100%出資する政策金融機関です。
 小規模事業者や個人事業主、これから創業する方などへの事業資金融資を行っており、国民生活事業では小口融資を中心に取り扱っています。
 仙台市でこれから会社を設立する方や個人事業を始める方にとっても、創業時の資金調達先として検討したい金融機関の一つです。

 日本政策金融公庫には、

  • 創業のための資金
  • 商品仕入れや人件費などの運転資金
  • 店舗・機械・車両などの設備資金
  • 事業拡大のための資金

 など、さまざまな用途に対応した融資制度があります。

2 創業時に利用できる「新規開業・スタートアップ支援資金」

 これから創業する方にとって代表的な制度が、「新規開業・スタートアップ支援資金」です。
 以前は「新規開業資金」という名称でしたが、2025年3月から現在の名称に変更されています。

 対象となるのは、原則として、
 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方
 です。

 主な融資条件は次のとおりです。

  • 融資限度額:7,200万円
  • うち運転資金:4,800万円
  • 設備資金の返済期間:20年以内
  • 運転資金の返済期間:10年以内
  • 据置期間:いずれも5年以内

 実際の融資額や返済期間などは、事業内容や資金の使い道、返済能力などを踏まえて審査されます。

3 創業期は原則として無担保・無保証人

 日本政策金融公庫の創業融資の大きな特徴が、創業期の方について原則として無担保・無保証人で利用できることです。

 対象となるのは、
 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
 です。

 また、この創業期に該当する場合、「創業支援貸付利率特例制度」により、原則として各融資制度に定める利率から0.65%引き下げられます。
 さらに、一定の雇用拡大を図る場合には、0.9%の引下げとなる場合があります。

 なお、実際の適用利率は、利用する融資制度、返済期間、担保の有無などによって異なりますので、申込み時点の日本政策金融公庫の金利を確認する必要があります。

4 自己資金はいくら必要?

 創業融資の相談でよく聞かれるのが、
 「自己資金はいくらあれば融資を受けられますか?」
 という質問です。

 現在の新規開業・スタートアップ支援資金について、一律に「創業資金の○分の1以上の自己資金が必要」という要件が設けられているわけではありません。
 ただし、だからといって自己資金が重要ではないという意味ではありません。
 日本政策金融公庫も、自己資金は重要な要素の一つとしています。
 公庫が融資先の創業企業を対象として行った調査では、創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で2割程度とされています。

 大切なのは、自己資金の金額だけではなく、
 「どのくらい準備してきたのか」
 「必要資金はいくらなのか」
 「なぜその金額を借りる必要があるのか」
 「借入後にきちんと返済できるのか」

 を事業計画全体で説明できることです。

5 創業融資では何を確認される?

 融資審査の基準がすべて公表されているわけではありませんが、日本政策金融公庫が公表している「創業計画書」やセルフチェックリストを見ると、準備しておきたいポイントが分かります。
 例えば、

  • なぜこの事業を始めるのか
  • これまでの経験や実績が事業につながっているか
  • 商品・サービスの特徴
  • 誰を顧客にするのか
  • 競合店・競合企業との差別化
  • 売上予測の根拠
  • 必要な設備や運転資金
  • 自己資金と借入金のバランス
  • 利益から借入金を返済できるか

 といった点です。
 特に重要なのが、売上計画を感覚だけで作らないことです。

 例えば飲食店であれば、
 「客単価×1日の来店客数×営業日数」

 美容室であれば、
 「客単価×1日の施術人数×営業日数」

 など、売上高の計算根拠を具体的に説明できるようにしておくことが大切です。

6 創業計画書は「数字の根拠」が重要

 創業融資では「創業計画書」を作成します。
 創業計画書には、

  • 創業の動機
  • 経営者の略歴
  • 商品・サービス
  • 取引先
  • 従業員
  • 必要な資金と調達方法
  • 事業の見通し

 などを記載します。
 ここで重要なのは、単にきれいな計画書を作ることではありません。

 例えば、
 「月商100万円を予定しています」
 と書くだけではなく、
 なぜ100万円になるのかを説明できる計画にすること
 が重要です。

 売上、原価、人件費、家賃、広告費などを積み上げ、そこから利益と借入金の返済額を考えていきます。
 創業後に資金不足にならないよう、開業直後の運転資金まで含めて計画しておきましょう。

7 融資申込みに必要となる主な書類

 必要書類は申込内容によって異なりますが、これから創業する場合には主に、

  • 創業計画書
  • 設備資金を申し込む場合の見積書
  • 法人の場合は履歴事項全部証明書または登記簿謄本
  • 本人確認に必要となる書類
  • その他、公庫から求められる資料

 などを準備します。
 すでに事業を行っている個人事業主や法人の場合には、確定申告書や決算書なども必要になります。
 なお、国民生活事業のインターネット申込みは24時間365日受け付けています。
 2026年9月28日からは、インターネット申込みの際に「日本公庫ダイレクト」へのログインまたは新規会員登録が必要となっています。

8 仙台市には日本政策金融公庫仙台支店があります

 仙台支店では、個人事業主・小規模事業者・創業予定者を対象とする「国民生活事業」のほか、中小企業向けの「中小企業事業」などを取り扱っています。
 創業資金については、来店相談だけでなくオンライン相談も利用できます。

 これから仙台市で、

  • 飲食店を開業する
  • 美容室・理容室を開業する
  • 建設業で独立する
  • IT・EC事業を始める
  • 会社を設立する

 といった方は、開業資金をすべて自己資金で準備するのではなく、日本政策金融公庫の創業融資も含めて資金計画を考えてみるとよいでしょう。

9 税理士に相談するメリット

 創業融資について税理士に相談するメリットは、「税理士に依頼すれば融資が通りやすくなる」という単純な話ではありません。
 重要なのは、創業計画の数字を現実的なものにすることです。
 例えば、

  • 売上計画に無理がないか
  • 原価率は適切か
  • 人件費を正しく見込んでいるか
  • 税金や社会保険料を考慮しているか
  • 運転資金が不足しないか
  • 借入金を返済できる利益が残るか

 といった点を、開業前に確認できます。
 また、会社を設立して創業する場合には、
 「個人事業で始めるのか、法人で始めるのか」
 という点も含めて検討する必要があります。
 融資を受けることだけを目的にするのではなく、融資を受けた後も無理なく事業を続けられる資金計画を作ることが大切です。

 創業融資だけでなく、会社設立後の税務署への届出や役員報酬、会計体制についてもあわせて準備しておくと、その後の経営がスムーズです。
仙台市でこれから法人を設立される方は、「会社設立サポート」もご覧ください。

10 よくある質問

自己資金が少なくても創業融資を申し込めますか?

自己資金について一律の割合要件が設けられているわけではありません。ただし、自己資金は重要な要素の一つです。借入金だけに依存した計画ではなく、創業計画全体の妥当性を考える必要があります。

すでに開業していても利用できますか?

新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方だけでなく、原則として事業開始後おおむね7年以内の方も対象となります。

赤字決算でも融資を受けられますか?

赤字だからという理由だけで一律に融資を受けられないわけではありません。赤字になった理由、今後の収支改善の見通し、借入金の返済可能性などを含めて判断されます。

申込みから融資決定までどのくらいかかりますか?

日本政策金融公庫によると、国民生活事業では申込みから融資決定まで平均的には3週間程度とされています。ただし、申込内容や審査状況によっては、それ以上かかる場合があります。

まとめ|仙台市で創業融資を検討している方へ

 日本政策金融公庫の創業融資は、これから事業を始める方にとって重要な資金調達手段の一つです。
 しかし、
 「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」は同じではありません。
 まずは開業に必要な設備資金と運転資金を整理し、売上・経費・利益・返済額まで含めた現実的な創業計画を作ることが大切です。

 佐沼幸太郎税理士事務所では、仙台市でこれから個人事業を始める方や会社設立を検討している方について、創業時の税務・会計、事業計画、資金計画などのご相談に対応しています。
 仙台市で会社設立・創業融資・開業後の税務顧問をご検討の方は、佐沼幸太郎税理士事務所へお気軽にご相談ください。

※ 本記事は2026年9月29日現在の日本政策金融公庫の公表資料をもとに作成しています。融資制度、金利、融資条件等は変更される場合がありますので、実際の申込みにあたっては日本政策金融公庫の最新情報をご確認ください。

 執筆:代表税理士 佐沼 幸太郎

 仙台市若林区土樋76ファミール愛宕202 佐沼幸太郎税理士事務所